<物流2024年問題>トラックでは稼げないとドライバーの離職増加 年収800万円も狙えるタクシーへの転職が加速【WBS】
一般会計の総額が112兆円あまり。政府は22日、過去2番目の規模となる2024年度予算案を閣議決定しました。予算案にはいわゆる「2024年問題」関連も盛り込まれました。この問題では2024年4月からドライバーの残業規制が強化され人手不足が懸念されています。ただ、トラック業界では規制を前にドライバーの離職が増え人手不足になっていました。 宅配便の再配達削減に繋がる「置き配」。政府は置き配などを選んだ人にポイントを付与する事業を行う予定です。さらにトラックに代わり船舶や鉄道で輸送するモーダルシフトの推進。国交省は、こうした物流の2024年問題への対策費として補正予算と合わせて、392億円を計上しました。 また、警察庁の有識者検討会は2024年問題に対応するため、8トン以上の中型・大型トラックの最高速度を、現行の時速80キロから90キロに引き上げても、交通安全に影響はないとする提言をまとめました。2024年4月の施行を目指します。 運送会社でドライバーに話を聞くと「長距離になると時速10キロ違っただけでも差が出てくるので大きい」「朝出る時間が遅くなって良い。運転していても楽。時間に余裕がある」と好評です。その一方で、今トラック業界ではある懸念が浮上しています。 「転職する人がいる。なかなか募集を出しても人が来ない」(「総合トラック」の古賀貴常務) 離職する人が増え、ドライバーが足りないのです。そこには、業界特有の理由がありました。 「給与体系が固定給というより歩合給で、諸手当が非常に厚く付いている業界。運行回数が減れば、運行手当が減ってしまう。運行回数が減ったことによって売り上げが減れば、売り上げの歩合制が減ってしまう」(古賀常務) 歩合制のトラックドライバーは来年4月からの残業規制が始まれば、労働時間が短くなり、手取り額が減ってしまうのです。「総合トラック」では来年4月以降も手取りが大きく変動しないよう、固定給の割合を増やすなど、給与体系を見直すといいます。 しかし「やった分だけ金がもらえるというのがこの運送業界の一つの魅力だったが、それ(労働時間)が頭打ちになることで、そこまで稼げなくなってしまう」(古賀常務)。 長時間働くことで高収入を目指したいドライバーには待遇面の魅力がなくなってしまうといいます。 不規則な勤務形態に加え、ドライバーが荷物の積み下ろしも行うなど、決して楽とはいえない運送業。トラックドライバーなどの人材を紹介する会社「ミライユ」の岡田侑也社長は「今までたくさん残業して稼げた人が稼げなくなってしまう可能性がある。将来の不安を感じて、トラック業界から転職する人が増えている」と話します。