周庭(アグネス・チョウ)氏 「事実上の亡命宣言」か
香港の民主活動家、周庭(アグネス・チョウ)さんが香港を離れカナダにいることを明かし、香港に一生戻らないことを宣言しました。「事実上の亡命宣言」と見られます。 周さんは9月に、公表しない形でカナダのトロントに留学を目的に出国していましたが、香港に帰らないことを決心したとして発表に踏み切りました。公表文では「当初は12月末に香港に戻る予定だったが、香港の状況、自身の安全、心身の健康などを慎重に考慮した結果、おそらく一生戻らないことを決意しました」と述べています。また「最初はこうした意図はなかった」として「故意に国家安全保障を欺こうとしたという指摘があっても、それは誤った発言だ」と強調しています。 周さんは2019年に香港で起きた民主派デモでの香港警察本部の包囲をめぐり、若者たちを扇動した罪などに問われ、2020年12月に収監されていました。その後、2021年6月に出所してからは、あらゆる情報発信をしていませんでした。 カナダへの留学の前には、香港の反政府運動などを取り締まる国安担当に、過去の政治活動への後悔や、今後二度と政治活動に参加しないことなどを表明する「懺悔書」の提出を求められたとしています。また、国安担当が同行する形で中国の深圳で愛国主義の展示会などを見に行かされたのち、香港では警察への感謝や偉大な中国の発展を理解したことを誓う文書の提出を求められたとしています。その際にも、パスポートが返ってこない可能性などもあり「とにかく恐怖だった 」と明かしました。さらに、民主活動を抑制した「香港国安法」が施行されて以降のこの3年間について、弾圧によって「精神的な病になっていた」と沈黙を貫いていた期間の心境についても初めて触れました。