「上げ馬神事」は動物虐待なのか? 批判受け姿消した“象徴” 会場は口論で騒然…
去年、動物虐待との批判を受けた多度大社の上げ馬神事。700年続く伝統が、今年は大きく形を変えて開催されました。勇壮な姿に歓喜する人がいる一方で、落胆の声も…。さらに、会場では抗議の声を上げる団体と観衆が衝突し、騒然となる場面もありました。 【動画】“虐待”うけ…姿消した“象徴”
700年続く伝統行事が迎えた転換点 祭り存続のために“象徴”を撤去
4日、三重県桑名市の多度大社で行われた上げ馬神事。700年続く伝統行事は今年、大きな転換点を迎えていました。 きっかけとなったのは、去年の祭りでの出来事。1頭の馬が坂の途中で転倒し、その後、殺処分になったのです。さらに馬をロープやはっぴでたたく行為が確認され、動物虐待との批判が相次いで寄せられました。
これを受けて、専門家は祭り存続のために大きな決断を促しました。坂の頂点にそびえ立っていた、祭りの象徴ともいえる約2メートルの土壁を撤去したのです。
さらに、専門家は坂以外の問題点も指摘しています。乗馬クラブを運営する中村さんは、馬をトレーニングしないまま祭りに使用すること自体が虐待につながるとして、事前のトレーニングの必要性を訴え、講習会を開催。祭りの2週間前には、馬を坂に慣れさせて負担を軽くするため、本番と同じ坂を使ったリハーサルを行いました。 2年連続で参加する騎手は「坂の角度が緩やかになったので、去年よりは楽に上れると思います」と話します。
抗議団体と観衆が口論になる場面も… 緊張感漂う中で開催された今年の上げ馬神事
例年以上に訓練を重ねて迎えた祭り当日。会場では警察や県の職員が、虐待がないか監視に当たっていました。三重県は去年の5倍、15人の職員を会場に派遣しました。 観客の中には「去年馬を死なせちゃったと聞いたので、死なせるまでやるなんてどんな神事だろうと思って来たんですけど。実際に来てみないと分からないと思って、今日来ました」と、去年の問題を受けて足を運んだ人も。
一方、祭りのために集まるのが毎年の恒例行事だという家族や、「決して命を粗末にはしていない。うわべだけを見てそんなこと言わずに、日本の伝統は守って欲しい」と話す人など、毎年、上げ馬神事を楽しみにしている人の姿も大勢見受けられました。