“誕生月”で「インフルエンザ」のかかりやすさが変わる!? ハーバード大が幼児81万例を調査
アメリカのハーバード大学らの研究グループは、「夏から冬に生まれてインフルエンザワクチン接種を受けた幼児を対象に、誕生月ごとのインフルエンザ診断率を調査した結果、10月生まれの子どものインフルエンザ診断率が最も低かった」と明らかにしました。この内容について山田医師に伺いました。 [この記事は、Medical DOC医療アドバイザーにより医療情報の信憑性について確認後に公開しております]
ハーバード大学らの研究グループが発表した研究内容とは?
編集部: 今回、ハーバード大学らの研究グループが発表した研究内容について教えてください。 山田先生: ハーバード大学らの研究グループは、夏から冬に生まれてインフルエンザワクチン接種を受けた幼児を対象に、誕生月ごとのインフルエンザ診断率を調査しました。成果は学術誌「BMJ(British Medical Journal)」に掲載されています。 研究グループは、誕生月が8~1月で2011~18年にインフルエンザワクチン接種を受けた2~5歳児、81万9223例を対象に研究をおこないました。8~1月生まれに限定して調査がおこなわれた理由は、冬季に流行するインフルエンザのワクチン接種タイミングに影響する可能性が最も高いためとしています。解析の結果、全体的に見ると、10月のインフルエンザワクチン接種が最も多く、37.3%に上りました。ワクチン接種タイミングは誕生月によって異なり、10月生まれの幼児は10月にワクチン接種を受ける割合が48.9%と、ほかの誕生月の幼児と比べて割合が高くなりました。また、10月生まれの幼児は、インフルエンザ診断率が最も低い結果が出ました。 CDC(アメリカ疾病予防管理センター)は、インフルエンザの流行のピークとなる11月~1月に免疫獲得期間が一致するよう、9~10月のワクチン接種を推奨しています。これを受けて、研究グループは「幼児におけるこの推奨を支持する臨床的エビデンスはこれまでほとんどなかった。しかし、誕生月によるインフルエンザワクチン接種タイミングの相違に着眼した今回の大規模な準実験的研究で、10月に予防接種を受ける可能性が最も高い10月生まれの子どもは、インフルエンザ診断率が最も低いという知見が示された。幼児においてもCDCの推奨が適切であることが実証された」とコメントしています。